弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第407回
敷金は2か月分では足りない

hiQをご覧のみなさんの中には、
マンションやアパートを貸している人も多いと思います。

事務所や店舗を貸す場合、
保証金を賃料の6ヶ月分から10ヵ月分預かるというのが
普通だと思います。

しかし、住居用のアパートやマンションを貸す場合には、
敷金は2ヶ月という場合が多いと思います。

この敷金や保証金は何のために預かるかというと、
借主が賃料を滞納したり、
荷物を置いて出て行ったりしたときの担保のためです。

賃料を滞納した場合は、
滞納分に敷金を充当することになりますが、
裁判では、基本的に賃料3ヵ月分を滞納したときに、
賃貸借契約の解除を認めます。

すると、3か月分を滞納して、
解除して出て行けという請求をして、
借主が直ちに出て行ってくれたとしても、
賃料を精算せずに、出て行かれてしまうと、
敷金は2ヵ月分しか預かっていませんから、
賃料1か月分が不足してしまうのです。

荷物を残されたり、
部屋が汚れていたり傷んでいたりした場合は、
原状回復費も、かかります。

さらに、借主が任意に出て行かない場合には、
訴訟を起こして、
強制執行により明け渡しをしなければなりません。
この訴訟から明け渡しまで、
短くても3ヶ月くらいかかってしまいますから、
その間の賃料も発生してしまいます。

さらには、弁護士費用や強制的に明け渡す費用もかかります。

こう考えると、
とても賃料2ヶ月分の敷金だけでは
不足することがわかると思います。

貸主の立場からすれば、
住居の場合でも、
店舗の場合のように10ヵ月分くらい預からないと、
万が一に備えられないということになります。

しかし、店舗や事務所でも、
保証金を10ヵ月分預かるというのは、
経済状況や物件によっては難しくなってきています。

住居で、敷金を2か月分以上預かるのは、
礼金や権利金をなしにすれば可能かもしれませんが、
10ヶ月というのはとても無理でしょう。

そこで、万が一に備えるには、保証人が重要となってきます。


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2008年11月13日(木)

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