第401回
弁護士秘書の価値は
通常の企業であれば、
社長以外の従業員が、商品を開発し、営業をし、
顧客からのクレームに対応するなどと、
企業の主たる業務を従業員がすることができます。
しかし、弁護士の秘書は、
弁護士に代わって、相手方と交渉し、
相手を説き伏せるということは、できません。
弁護士に代わって、裁判所に提出するために作成する書類も、
かなり限られています。
顧客相手に、営業をすることもありません。
法律事務所における仕事の中心的な部分は、
弁護士資格を持っている弁護士しかできないものが多いからです。
だから、自分の持つアイデアで、新規事業分野を開拓したり、
新しい顧客を掴んで売上を伸ばしたりする
という一般企業でできるような自己実現は、
弁護士秘書の仕事ではできないと思います。
しかし、緊張しながら、
初めて法律事務所に電話してくる相談者の電話を取るのは、
弁護士秘書ですし、
法律事務所へ訪れた人が最初に出会うのも、
弁護士秘書なのです。
弁護士秘書の印象が、
その事務所の第一印象となります。
来客があればお茶を出し、
弁護士の作成した書面や証拠書類は、大量にコピーします。
コピーやお茶汲み、電話番というと、
したくない仕事に挙げられることが多いですが、
弁護士秘書の仕事としては、
ファックスや郵便物の送付と合わせると、
かなりの割合を占めることとなります。
その他、通帳の入出金や、戸籍や登記簿謄本の取り寄せ、
裁判所への書類の提出など、
ひとつひとつはそんなに難しくないけれども、
こまごまして面倒で、
しかも、間違いが許されないのが、弁護士秘書の仕事です。
これらを、早く正確に効率的に、やってもらえると、
弁護士が弁護士しかできない仕事に
安心して専念できるということになります。
このような弁護士秘書の仕事の価値を評価するのは
なかなか難しいです。
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