弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第396
三和ファイナンスに破産申立

消費者金融の準大手である三和ファイナンスが
三和ファイナンスからお金を借りていた人たちから、
破産の申立をされた
というニュースをみなさんはご存知でしょうか。

お金を借りていた人たち自身が
破産するならばよくあることですが、
その人たちが貸し手である
準大手の消費者金融である三和ファイナンスを
破産させようとしたのです。

これはどういうことかと言うと、
まず、三和ファイナンスから高利で借りていた人たちが、
長年返済しているうちに、
利息制限法の利率で計算し直したら、返し過ぎていて、
借主(債務者)ではなくて、
いわゆる過払金を返してもらえる債権者だったということです。

そこで、みなさんの中で破産に対する知識のある方は、
破産は、借金などの債務を払えなくなった人や
会社が支払いを免れるためにするもので、
破産なんかされてしまったら、
債権者にとって不利なんじゃないか
と疑問に思うのではないでしょうか?

三和ファイナンスの例で言えば、
三和ファイナンスに破産されてしまったら、
債権者の持つ過払金は
返してもらえなくなってしまうのではないかということです。

実は、破産は、究極の債権回収方法なのです。
三和ファイナンスは、営業停止になってから、
貸付業務を停止して、貸したお金の回収だけをしていました。

そして、過払金を返せという請求に対しては、
裁判で負けても、支払わずに放置しておいたのです。
支払わなければ、当然、
預金などを差し押さえされますが、
預金を差し押さえられないよう細工をしていたようなのです。

そこで、三和ファイナンスに
過払金返還請求権を持つ人たちの弁護士が集まって、
破産の申立をしたのです。

破産というのは、本当は、債務者に財産隠しをさせずに、
債権者に平等に弁済をする手続きです。

だから、財産があるにもかかわらず、
判決を受けても支払わないような悪質な債務者に対しては、
破産の申立は、債権回収の手段として有効なのです。

三和ファイナンスは、財産があるのに破産させられ、
財産関係を全て裁判所に抑えられてしまうことを防ぐために、
破産の申立をした債権者に対しては、
全て支払いをすることを約束して、
破産の申立を取り下げてもらったようです。

債権者の破産申立が
債権回収として成功した事例として珍しいので、
みなさんにお話してみました。


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2008年10月7日(火)

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