弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第388回
相手はどこの誰ですか?

みなさん、お金を貸した相手や物を売った相手が
誰かわからないなどということを想像したことはないと思います。

名前も住所もわからない相手に、
お金を貸したり、物を売ったりするはずがないからです。

しかし、みなさんは、相手の名前や住所は、
何で確認しましたか?
名刺が一番多いのではないでしょうか?
相手のメールやホームページ、
会社のパンフレットで確認していることもあるかもしれません。

これらだけで、
相手を確認しているという方は、危険です。
というのは、これらは、
全て相手が自分で勝手に作れるものだからです。
名刺などにより偽名や偽会社名を使うのは、簡単です。

お金を貸したけれども、返ってこない。
弁護士に依頼して請求しようと思ったところ、
名刺の住所には、住んでおらず、
住民票も申請したけれども、住民登録はされていない。
 
携帯の番号やメールアドレスは、受信拒否されたり、
そもそも使用停止にされてしまったりしている。

とすると、相手にお金を請求しようがない
ということになってしまいます。

これは、詐欺だと思って、警察に刑事告訴に行こうとしても、
相手が偽名で、どこの誰かがわからなければ、
刑事告訴をすることもできません。
(厳密に言うと、氏名不詳ということで
刑事告訴は理論上可能ですが、
仮に刑事告訴を受理してくれたとしても、
どこの誰かがわからなければ、
実際には警察は動いてくれません。)

相手の存在を確認する手段としては、
住民票や印鑑証明書、会社の商業登記簿謄本(全部事項証明書)、
免許証やパスポートなどがあります。

飲み友達、ゴルフ友達、異業種交流会で会った人、
ホームページで会った人など、
人を疑い始めると切りがないですが、
みなさん、お金が絡むときには、よく注意してください。

実際に、そういう被害に遭った人から、
みなさんが同じ目に遭わないよう
コラムに書いて欲しいと要望があって、
同様のケースは以前にもあったので、書いてみました。


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2008年9月9日(火)

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