弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第370回
弁護士や医師を増やしても

地方では、弁護士不足、
医師不足ということがよく言われます。
弁護士がいなくても、
直接生命にかかわらないので、
医師不足の方が深刻かもしれません。

そういうこともあって、
弁護士や医師を増やそうという話があります。
弁護士は、
以前は合格者が年間500人であったところを、
現在年間2000人以上となっており、
これから3000人にしようとしています。

弁護士については、現時点でも、
就職先がなく、
生活に困っている弁護士がいるというのは、
新聞やテレビの報道でみなさんご存知だと思います。

そのような状況になっても、
弁護士が不足していると言われている地方で、
弁護士をしないのは、なぜでしょうか?

仕事の面から考えると、
弁護士が自分1人だとすると、
その地域で弁護士のやらなければならない仕事は、
好むと好まざるとにかかわらず、
全てその弁護士がやらなければなりません。

東京のように弁護士が多いところと比べると、
その負担が重いことは間違いありません。
東京のように弁護士が多いところでは、
公共的な仕事やボランティア的な仕事も、
ある分野を選択して、
自分がやりたい分野を選ぶことができます。

また、弁護士が仕事をしていく上で、
精神的部分な意味合いが大きいかもしれませんが、
他の弁護士と意見を交換したり、
情報交換したりすることが必要となります。

弁護士の仕事上の悩みをわかってくれるのは、
やはり同じ仕事をしている弁護士だからです。

弁護士が1人だと話し相手もいないということになるし、
1人でなくても、
同年代や気が合う弁護士がいなければ
話せる相手はいないということになります。

東京のように事件が多いところと比べれば、
地方では特定の分野の事件だけをやって
生計を立てるのは無理なので
仕事の専門性を磨くことも難しいです。

医師も、仕事で地方を選択しないのは、
弁護士と同じような理由からかもしれません。

そうだとすれば、
医師や弁護士を増やしたとしても、
地方で仕事をする医師や弁護士は増えないということになります。





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2008年7月1日(火)

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