第367回
貸付金なのにお金が戻らない
前回、貸付金と出資金の違いをお話しました。
一番の違いは、
貸付金は相手に渡したお金を
必ず返してもらえることだと説明しました。
しかし、みなさん、
「じゃあ、他人にお金を渡すときは、貸付金にして、
借用書に署名捺印してもらえば安心」
なんて、早合点しちゃだめですよ。
貸付金が、
相手に渡したお金を必ず返してもらえるお金と言っても、
それは法律上のことだけです。
要するに、相手に渡すお金を貸付金にして
借用書に署名捺印してもらっておけば、
裁判をしたときに勝って、
裁判所が相手方に金○○を返せという判決を出してくれる
ということなのです。
いつも言っているとおり、
判決が出たとしても、
相手が任意に払わないときには、
相手の財産を差し押えなければ、お金は返ってきません。
相手に差し押える財産がないときや
相手の財産がどこにあるかわからないときには、
差し押さえができませんから、
お金は返ってこないのです。
お金を渡すと、
相手は目的外のことに使ってしまうかもしれないし、
お金を持って逃げてしまうかもしれません。
約束の期日になってものらりくらりとして、
一向に返すつもりがないかもしれません。
他に借入があり、破産してしまうかもしれません。
これらのことを考えると、
貸付金にしたとしても、
一度、相手にお金を渡してしまうと
返してもらうことが簡単でないことがわかると思います。
弁護士は、トラブルになる事案ばかり取り扱っていますので、
お金を渡すと取り戻すのが大変だと思っています。
だから、みなさん、よく100万円以上のお金を
担保もなしに貸したり、
出資したりするなと驚いてしまいます。
|