第318回
借主との関係を切るのは難しい
借主と言っても、
土地や建物の借主で、お金の借主ではありません。
HiQを読んでいる方は、
地主や大家といった貸主の方も多いかもしれません。
借主には、
賃料を期限通りに支払わない人もいます。
共用部分に物を置いたり、
騒いで近隣に迷惑をかけたり、
その他契約に違反する行為を行なったりもします。
契約違反や迷惑行為があった場合に、
貸主としては、直ちに賃貸借契約を解除して、
出て行ってもらいたいところです。
ところが、
借主に出て行ってもらうのは、そう簡単ではありません。
法律は、土地や建物の借主を保護しているからです。
土地や建物を借りている場合、
借主にとっては、
その土地や建物は、生活の基盤となっています。
だから、法律は、
借主の生活の基盤を奪うことになる
賃貸借契約の解除を簡単にできないようにしています。
法律は、借主の行為が、
貸主との信頼関係を破壊したといえる事情がある場合に、
賃貸借契約の解除を認めています。
これを「信頼関係破壊の法理」と言います。
具体的には、
1回くらい賃料の支払がなくても契約の解除ができません。
一般的に、
賃料の未払いが3か月分くらい溜まらないと
解除できないとされています。
また、契約違反行為や迷惑行為などは、
やはり1度くらいしただけでは解除できません。
契約違反行為や迷惑行為がなされたら、
それに対して止めるように注意して、
一定期間内に止めなければ解除する旨の通告をして、
それでも止めないという事情が必要なのです。
注意しても止めない場合でも、
契約違反や迷惑行為の程度が軽い場合には、
解除が認められない場合もあります。
このように貸主が土地や建物の借主との関係を切るのは
簡単ではありません。
|