第311回
従業員と経営者の給料の考え方
従業員は、給料は、働いた対価として、
毎月当然にもらえると思っています。
自分の労働がどれだけ会社の利益に貢献したか、
あるいは自分の労働の価値などはあまり関係ありません。
約束した金額が支払われることは当然で、
働いていれば、それ以上に給料が上がると考えています。
これに対し、経営者は、
従業員の労働によって利益が上げれば、
それに応じて支払うし、
逆に、利益が出なければあまり払えないと考えています。
実際、大企業は別として、
中小企業では、経営者は、
会社の売上に応じて給料が変動します。
経営者としては、従業員も自分と同様に、
完全成功報酬制、
あるいは完全歩合制の給料体系が理想です。
しかし、雇われる方の従業員は、
安定した給料を希望します。
日本全体が経済成長期にあったころは、
多くの会社が安定した売上が見込め、
しかも、売上が増大していったので、
従業員に安定した給料を約束し、
若手の従業員の給料を安くし、
高齢の従業員の給料を高くすることができました。
ところが、日本経済は成熟経済となり、
同じようなことをしても、
儲かったり儲からなかったりするし、
利益が出たと思っても、
次の年は減益となってしまったりします。
そこで、経営者は、
従業員の給料をなるべく低く固定させ、
利益あるいは貢献に応じて、
高くなったり、低くなったりする成果主義を取るわけです。
これら従業員と経営者の給料に対する考え方の違いで、
給料を巡る労使の紛争が生じることも多いし、
その紛争を解決することはなかなか難しいです。
でも、一般的に、労働法では、
従業員の立場が保護されています。
これについても、従業員は当然だと思い、
経営者は不合理だと思っており、
両者に溝があります。
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