第303回
相手が個人なら、給料か自宅が確実
前回から相手の財産の差押えの話をしています。
相手が会社でなく個人であれば、
自宅か給料を差し押さえるのが効果的となります。
普通の人は、せっかく手に入れて、
自分及び家族が住んでいる自宅が競売にかけられれば、
他人の手に渡るということは何とか防ごうとするものです。
だから、自宅が差し押さえられれば、
どこからか資金を調達して、
判決で認められた額を支払おうとします。
また、相手方が資金を用意できなくても、
裁判所が自宅を売却した代金を払ってくれるので、
回収は確実です。
自宅の所有者が誰かは、
住所地の土地と建物の
不動産登記簿謄本(又は全部事項証明書)
を法務局で取れば、調べることができます。
ただし、自宅の所有者が、
判決に記載された相手方でなければ、
差押えはできません。
また、自宅に住宅ローンなどの抵当権がついている場合には、
差押えに優先します。
差し押さえた時点の抵当権で担保されている額が、
物件価格よりも大きい場合には、
物件を売却しても抵当権者に弁済されるだけなので、
差押えは取り消されることとなってしまいます。
だから、自宅を差し押さえるには、
住宅ローンの返済が終わっているか、
住宅ローンの残額よりも
物件の価格が上回っている必要があります。
次に、給料の差押えですが、
普通の人は、給料を得て生活しているので、
給料を差し押さえられたからといって、
職場を辞めるわけにはいきません。
また、給料の差押通知は、
勤務先に届けられますので、
金銭トラブルを抱えていることが勤務先にばれてしまいます。
そこで、給料の差し押さえを受けた場合に、
相手方は、差し押さえを取り下げてもらうために、
やはりどこからか資金を調達して支払ってくる可能性が高いです。
ただし、相手の勤務先がわからなければ、
給料の差押えはできません。
また、給料は、差し押さえることができるのは、
給料の4分の1又は33万円を超える部分です。
それに、今の勤務先を辞めてしまうと、
差押えにより回収できるのは最後の給料の分までで、
また、新しい勤務先を調べて給料を差し押さえる必要があります。
このように、差し押さえる財産によって、
メリット・デメリットがありますから、
これらを比較して、
どの財産を差し押さえるか決めることとなります。
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