弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第302回
何を差押えるか?

裁判は、判決を取るために行います。
裁判の意味は、
どちらの言い分が正しいかを判断するというのが1つです。
もう1つの意味は、
請求が認められた場合に、
相手の財産を差押えて
お金の回収をすることが認められるということです。
だから、裁判で勝って請求権が認められたのに、
相手がお金を支払わなければ、
相手の財産を差押えることができるのです。

相手のどんな財産を押さえられるかというと
基本的には、財産価値があるものは
何でも差押えることができます。
銀行預金や給料、
自宅の土地・建物、自動車、
事業をやっている人が相手であれば、
売掛金や商品、工場の機械などです。
もちろん、現金があれば現金も差押えることができます。

では、差押えにより
お金の回収が簡単にできるかというと、
そうでもありません。
まず、銀行預金を差し押さえるには、
相手がどこの銀行の何支店に預金があるかを
特定する必要があります。 

しかし、預金がどこにあるかを調べることは、
弁護士でもできません。
銀行などの金融機関は、
顧客に対し守秘義務があるので、
その人の口座があるのか、
いくら残高があるのかなどは、
本人以外には教えてくれないのです。

そこで、相手方が会社であれば、
取引銀行が会社案内などに記載されていることもあるので、
そこの預金を押さえるということになります。
わからない場合は、
自宅や会社の近くの銀行の支店に対し、
当てずっぽうで、差押えをすることもあります。

銀行預金の差押えは、
差押えた日の残高のみが差押えの対象となります。
差押えた翌日にお金が振り込まれても、
それは差押えた債権者のものにはならないのです。
以上のことから、
意外に銀行預金の差押えによる回収は難しいことが多いのです。





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2007年10月30日(火)

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