弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第296回
定期借家は貸主に有利ですが

前回お話したとおり、
定期借家契約は、通常の賃貸借契約に比べて、
貸主に有利な契約となっています。
そのためには、きちんと契約書を交わし、
定期借家契約であることを
明示しておくことが必要となります。

契約書には、期間が満了したときは契約が終了し、
更新しないと記載しなければなりません。
契約する際には、
このことを十分に説明する必要があります。
借主から定期借家契約であることについて
説明を受けたという書面をもらっておくとよいと思います。

そして、期間満了で終了するときには、
期間満了の6ヶ月以上前に、
期間が満了したら契約を終了し、
返してもらうことを、
借主に通知しなければなりません。
これらの手続を怠ってしまうと、
せっかく定期借家契約を結んだとしても、
期間満了時に、
物件を返してもらうことができなくなります。

このような手続を踏めば、
貸主にとって有利な定期借家契約ですが、
もちろんよいことばかりではありません。
借主が定期借家契約について、
無知であれば、
何の疑問もなく定期借家契約にサインしてくれるでしょう。 
しかし、例えば、
店舗として借りようとしている人が、
定期借家契約で、
2年あるいは3年で出て行くことを前提として、
契約を結んでくれるでしょうか?

住居として借りるとしても、
2、3年後にまた引越しするという前提で借りる人が
それほどたくさんいるとは思えません。
借りてくれる人がいなければ、
賃料収入は入りませんし、
期間満了時に返してもらうという
定期借家契約の威力も発揮できません。

このように定期借家契約は、
貸主にとって有利な契約なので、
それでよいと言ってくれる借主がいればよいのですが、
そもそも、定期借家契約だと
借りてくれる人がいるのかというリスクがあるのです。
物事なかなか一方に有利にならないようにできているのです。





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2007年10月9日(火)

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