弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第266回
学校トラブルに弁護士

港区が、学校のトラブルについて、
弁護士に相談できる体制を取ったことがニュースになっています。
確かに、先生と生徒と親の信頼関係という観点からすると、
生徒や親が先生に何でも相談でき、
それに先生が応えるという姿が望ましいのかもしれません。
先生も、生徒の家庭環境などが把握できることとなり、
生徒の指導に役立つこともあると思います。

しかし、トラブルの解決というのは、
1件でも抱えれば、大変な労力と時間がかかります。
先生が、親からトラブルの相談を受けて、
それを抱え込むと、
授業の準備など他のことに当てる時間が取られることとなります。
しかも、先生が親の相談を受けるのは、
本来の職務とは関係なく、
任意で応じているボランティアのはずですが、
今の一部の人たちは、
それは当然の権利だと思い込んでいる節があります。

また、先生は、教育の専門家であって、
トラブル解決の専門家ではありません。
だから、例えば、非常識な親が、
子供が給食を食べたにもかかわらず、
給食費を支払わないということを平気でするのです。
要するに、非常識な親は、
学校の先生からの請求なんて、
適当にごまかしておけばよいと思っているわけです。
学校や生徒・親に関する問題は、
全て先生が責任をもって解決することは、不可能です。
むしろ、知識もないのに先生が解決に当たろうとすると、
貴重な先生の時間労力が無駄になるばかりでなく、
問題解決も図れないということにもなりかねません。

会社だって、個人だって、
トラブルがあれば、弁護士に相談しながら、
法律上どうなるかを確認し、
具体的な解決案を探ります。
学校だけ、弁護士に相談しないで
解決しようとしていた今までがおかしかった
と思うのですがいかがでしょうか。
学校や教師を非難するばかりでなく、
学校や教師を生徒の教育・指導
という本来の仕事に集中させる手助けも必要だと思います。





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2007年6月19日(火)

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