第249回
離婚すると父が貸した土地はどうなる?
前回、A子さんのお父さんが
A子さんの夫であるBさんに対し、
Bさんの事務所用にマンションを無料で貸していたケースで、
A子さんとBさんが離婚した場合には、
お父さんは、Bさんに対し、
マンションを返せと言えるという話をしました。
さて、それでは、
お父さんが貸していたのが土地で、
Bさんがその上に
事務所用のビルを建てていたらどうでしょうか?
というのが今日のお話です。
貸していたのが土地であっても、
前回、マンションのとき
お話したとおり、
無料で貸していた場合は、
使用貸借契約ですから、期間を決めていなければ、
目的が終了したかどうかで、
契約が終了するかどうかが決まります。
もちろん、貸したのが土地であっても、
マンションであっても、お父さんが貸した目的は、
娘夫婦が円満に夫婦生活を営むことにありますから、
離婚したら目的は終了したと言えるような気がします。
しかし、マンションのケースと違うのは、
Bさんが土地に建物を建ててしまったということです。
この場合、土地を返せということは、
当然、建物は壊して返せということとなります。
建物を建てるには、多額のお金がかかっています。
建物は、通常、30年から40年は使うことを予定していますから、
建物を建てさせる目的で土地を無償で貸した場合は、
建物が利用できなくなるくらい
老朽化したときに目的が終了すると考えられています。
とすると、離婚しても
土地は返してもらえないとも考えられます。
しかし、お父さんとしては、
娘と離婚した相手に、
無料で貸し続けなければならない
というのはひどい話です。
だから、買い取るか、返すか
どちらかにしてもらうのが事案の解決としては、
正しいということになります。
離婚のトラブルは、判決まで行かずに、
交渉あるいは訴訟の段階で、
話し合いで解決することが多いので、
同様のケースの判決は、
判例集で調べた限り載っていませんでした。
僕の担当した事件も、幸い、
買い取りで解決しています。
実際裁判になった場合、
裁判所が返せという判断をするのか、
それともこのまま使わせろという判断がでるのか、
間を取って地代を支払って使わせろというのか、わかりません。
夫の浮気や暴力、生活費を入れないなどの場合は、
夫の自業自得なので、
返すことを認めてもよいと思いますけどね。
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