第248回
離婚すると、父が貸したマンションは
離婚の相談が多いというお話は、
何度かしていると思います。
離婚と言えば、夫婦間の問題なので、
夫婦でその条件を話し合えばよいことです。
しかし、意外に、結婚すると、
どちらかの両親が、自分の息子や娘のために、
土地やマンションを無償で貸してあげているケースが多いのです。
もちろん、親子ですから、
契約書も交わしていませんし、
賃料も、期間も決めていません。
例えば、
A子さんのお父さんが、
A子さんの夫であるBさんに、
事務所として、
マンションの一室を無償で貸していたとしましょう。
5年したところで、A子さんとBさんが離婚したとします。
A子さんのお父さんは、
Bさんに対し、マンションを返せといえるでしょうか。
無料で、物を貸す契約を「使用貸借契約」と言います。
使用貸借契約は、契約期間が決めてあれば、
それに従って契約が終了します。
期間を決めていない場合は、
貸し借りの目的が終了したときに返還することとなります。
A子さんのお父さんが
Bさんに無料でマンションを貸したのは、
A子さんとの夫婦関係を
円満に続けてもらうためでしょうから、
当然、離婚すれば、
A子さんとの円満な夫婦関係を続けるため
という目的は終了したこととなります。
したがって、こういうケースでは、
お父さんはBさんに、
マンションを返せと言えると思います。
マンションの場合は、
比較的返してもらえるという結論になりやすいのですが、
土地の場合には、
なかなか難しい問題があります。
土地を貸した場合は、次回にお話します。
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