第243回
生前の相続放棄は無効
お父さんやお母さんが亡くなる前に、
兄弟の中の誰かが、
自分は遺産は要らないと言っていたり、
自分は相続権を放棄する
という念書を書いていたりするケースがあります。
実際に、お父さんやお母さんが亡くなった場合に、
相続を放棄するという前言を翻し、
相続分の請求をするということがあります。
このようなことは許されるでしょうか?
みなさん、驚かれるかもしれませんが、
判例上、お父さんやお母さんの生前に
相続を放棄すると念書を書いていたとしても、
その念書は無効で、
実際にお父さんやお母さんが亡くなったときに
相続分を主張することができます。
では、生前に相続の放棄が全く許されないかと言うと、
限定的に認められる場合があります。
それは、まず、お父さんやお母さんに、
相続の放棄をすると言っている子供には
遺産が行かない内容の遺言を書いてもらいます。
そして、相続の放棄をすると言っている子供が
遺留分を放棄することについて、
家庭裁判所の許可を取れば、
生前の相続の放棄が有効となり、
その子供が遺産を取得しないこととなります。
実際、お父さんやお母さんに
遺言を書いてもらわなければなりませんし、
その上で、相続を放棄すると言っている子供に
家庭裁判所に遺留分放棄の許可を
得てもらわなければなりません。
だから、法律上、
有効に、生前に相続の放棄をさせることは、
かなりハードルが高く、難しいです。
せっかく、生前に相続の放棄をする
という念書を取ったとしても、後で、
それは無効だと主張される可能性もあります。
逆に、相続を放棄すると念書を書いてしまったとしても、
後で争うことができるのです。
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