弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第241
要注意借主への対策

前回、借主の家賃(賃料)の支払が遅れたときには、
放っておかずに督促して、
1週間以上経過しても、家賃を支払ってこない借主は、
払いたくても払えない
(即ち、生活に十分な収入がない)か、
払うつもりがないかのどちらかなので、
要注意だというお話をしました。
これらの要注意借主に対しては、
どう対応するかというのが、
今日のお話です。

まず、払うつもりがない借主に対しては、
厳しく、契約を解除して
明け渡してもらう方向で対応するのは当然です。
では、収入が少なくて生活が苦しいという借主に対しては、
どう対応すればよいでしょうか?
以前であれば、支払を待ってあげれば、
事業が改善したり、
家計の収支のバランスがよくなったりして、
待ってあげた分の家賃を
分割で支払ってくれるということもありました。
しかし、借主が自営の人の場合、
これまで事業がうまく行かなかったにもかかわらず、
今後、事業内容が突然改善されるということは期待できません。

また、借主が給与所得者の場合でも、
これまでも給料をもらっているはずで、
今後、給料が突然多くなるということは期待できません。
したがって、待ってあげても、
借主に特殊な事情でもない限り、
待ってあげた期間の未払い賃料を
上乗せして払えるほどの収入を
得られるようになる見込みはほとんどありません。

今は、生活が苦しくなると、
サラ金などで借金をしてしまう人がほとんどなので、
支払を待ってあげると、
待ってあげた分借金の額が膨らんでしまい、
さらに賃料の支払が
困難になってしまうのが実情です。
したがって、要注意の借主に対しては、
生活が苦しいので待って欲しいと言われても、
支払を待ってあげないという対応が正解です。
もし、借主が、
次の月に収入を得られる見込みがあるというのであれば、
その見込みを借主から保証人
あるいは親族に話してもらい、
保証人や親族に未払分を払ってもらいましょう。
借主は、後で収入が得られたら、
保証人や親族に払ってもらった分を返せばよいのです。

借主の保証人や親族が借主の話を信用しないで、
借主に代わって
未納分の家賃を払いたくないと言った場合には、
全くの他人のみなさんが借主のために、
支払を待ってあげる必要はないのではないでしょうか?
そういう借主には
出て行ってもらうほかないと思います。


←前回記事へ

2007年3月15日(木)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ