弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第191回
弱い者いじめは、独禁法違反

みなさんは、
独占禁止法という法律の名前を
聞いたことはあるでしょう。
通称「独禁法」です。
例えば、
市場の50%の商品を供給するA社と
市場の40%の商品を供給するB社が合併したら、
合併した会社は
市場の90%の商品を握ることと
なってしまいますから、
商品の値段を自分の都合のよいように
決めることができます。

合併した会社が
商品の値段を高くしても、
消費者は、ほとんど選択の余地がないので、
他を選ぶことができなくなるからです。
このことから、
市場の独占を禁止して、
市場の自由な競争を
確保するための法律として、
独占禁止法と名づけられたのです。
みなさんは、談合のニュースを
よく耳にすると思いますが、
この談合を取り締まる法律が、
「独禁法」です。

談合というのは、
公共工事の入札価格を
業者間で調整して
どの業者がいくらで
落とすことを決めて、
業者に有利な値段を維持する行為です。
これも、自由な競争を
阻害する行為として、
「独禁法」で禁止されています。

現実の取引社会では、
下請などの中小企業が大手企業に、
無理難題を押し付けられたり、
いじめに遭ったりしています。
実は、「独禁法」は、
この大企業による
弱い者いじめも禁止しているのです。
これを「優越的地位の濫用」と言います。

先日、三井住友銀行が、
融資する条件として、
金利スワップという
リスクの高い金融商品を
購入させていたことが、
「優越的地位の濫用」に該当し、
独禁法に違反すると、
公正取引委員会から勧告を受けました。

中小企業にとって、
銀行から融資を受けられなければ
倒産してしまう場合もありますから、
そういう状況下では、
銀行は圧倒的に優位な立場にあり、
中小企業は
銀行の言うことを聞かざるを得ません。
その優位な立場を利用して、
本来、不要な
金融商品を買わせるような
不公正な取引についても、
「独禁法」は禁止しているのです。


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2006年9月19日(火)

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