第167回
ビジネスには法律力が必要だ
「ビジネスには法律力が必要だ」
というのは、
数年前に僕が
雑誌から取材を受けたときの
企画のタイトルです。
その後、同じタイトルで、
企業経営者の勉強会でも講演しました。
最近、大企業、
有名企業の不祥事のニュースが多くなり、
法令順守(コンプライアンス)や
企業統治(コーポレートガバナンス)など、
企業経営にとって、
法律を守るという
当たり前のことが叫ばれています。
その理由の1つに、
企業(会社だけでなく個人も含みます)は、
利益を目的とするので、
多少の法律は違反してでも、
利益が得られる行動を取ってしまう
ということがあると思います。
しかし、以前は、
企業は今と同じようなことは
全くなかったかと言えば
そんなことはありません。
最近騒がれている
個人情報の流出や産地偽装などは、
以前もあったと思われますが、
余り問題視されていませんでした。
また、大企業が
総会屋と付き合うのも当たり前でした。
これらについては、
日本社会が成熟し、
社会の不正に対する眼が
厳しくなって来たことから、
取り締まる法律も整備されてきたのです。
「衣食足りて礼節を知る」と言いますが、
日本社会は、
これまで「まあいいか」と思われてきた不正も、
きちんとルールを作って、
それを守らなければ
社会的に非難されるというくらい、
社会が成熟し、
豊かになったということではないでしょうか。
これからの企業は、
「法律を破り利益を上げていた」、
あるいは「法律を破り他人に損害を与えていた」
と報道されれば、
企業活動ができなくなってしまうおそれもあります。
これまで許されてきたからと言って、
今後も許されるとは限らないのです。
そこで、「ビジネスには法律力が必要だ」
と言われるわけです。
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