第163回
弁護士のドラマ
4月の番組改編では、
弁護士のドラマが重なりました。
弁護士の出るテレビ番組が話題となり、
ライブドアのニッポン放送買収事件で
弁護士がマスコミで取り上げられ、
弁護士がワイドショーや
ニュースに出る機会が多くなったことから、
ドラマでも弁護士を取り上げれば、
ヒットするのではという
各テレビ局の考え方が一致したためでしょう。
いつも言っているとおり、
弁護士のドラマと言えば、
刑事事件を取り上げるものがほとんどです。
そして、そのほとんどのストーリーが、
弁護士が真犯人を見つけて、
依頼人である被告人の無罪を証明するというものです。
4月からの弁護士ドラマでも、
そういうものがありました。
ドラマの影響力は大きく、
弁護士の仕事と言うと、
みなさん、やはり
刑事事件で無罪を争うと思ってしまうようです。
現実には、刑事事件自体は、
民事の事件数に比べて少ないですし、
その中で、
全く身に覚えが無いのに突然逮捕されて、
無罪を争うというドラマのような事件は、
あまりありません。
弁護士は、警察や検察のように、
捜査権限が認められていませんので、
捜査をしようにもできませんね。
実際の刑事事件では、
弁護士は、犯罪を犯してしまったことを前提に、
被害者に謝罪し、
被害者と被害の弁償について話し合ったり
(いわゆる「示談」のことです)、
犯罪の原因が何で、
今後いかに更生していくかを本人と話し合い、
そのような環境を整えるよう
周囲の人物と調整したりして、
刑を軽くしたり、
執行猶予を取ったりするための活動をしています。
ドラマに、文句を言っても仕方がありませんが、
実際の弁護士の刑事事件での弁護活動は、
犯罪をしていないのに
逮捕されてしまった人の
無罪を明らかにして救出するなどという
華々しいものではなく、
もっと地道なものなのです。
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