弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第131回
せっかく弁護士になったのに・・・

前回、以前と比べると
今はかなり弁護士になりやすくなっており、
今後さらになりやすくなるという話をしました。
今回は、「ということは、どうなるか」という話しです。

司法試験合格者を増やせば、弁護士が増えます。
しかも、これまでの弁護士よりも、
当然成績が悪い(知識や能力のない)
弁護士が増えるということです。
弁護士になりたい人にとっては、
成績が悪くてもなれるんだからいいじゃないか
というメリットかもしれません。
しかし、それだけ弁護士が増えると、
単純に1人あたりの弁護士の仕事が減ることとなります。

もちろん、弁護士の増加と
弁護士の仕事量の増加が同じであれば、
1人あたりの弁護士の仕事は減りませんが、
弁護士は、以前の6倍のスピードで増えていきます。
弁護士が現在不足していたとしても、
数年で、その不足分を
弁護士の数が追い越してしまうのではないかと思われます。
(先のことはよくわかりませんが。。)

ちなみに、現在、弁護士は約2万人です。
それに対しての3000人ずつの増加ですから、
相当な勢いで増えていくことは間違いありません。
このことを先取りした現象が
司法試験の合格者1500人の現在でも起きています。
司法試験合格者でも、
就職する法律事務所が見つからない者が出てきているのです。

現在、司法修習中の人たちは
卒業まであと10ヶ月ありますが、
弁護士会に出ている求人数などを見ていると、
なかなか全員の法律事務所への就職は厳しそうです。

特に、雇う側の弁護士は、
難しかったころの司法試験に合格していますから、
以前と比べて3倍も易しくなった司法試験に
10年もかけて合格したという者に対しては、
かなり見る目が厳しくなります。

今後も、司法試験の合格者数は増え、
弁護士になる人数は増えていきますから、
せっかく司法試験に合格し、弁護士になったのに、
就職先がないということも十分考えられます。

これから弁護士を目指そうとする方は、
弁護士になりやすくはなったけれども、
その代わり、なってからのリスクが高まったということを
十分認識してください。


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2006年2月16日(木)

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