第108回
上場は何のため?
前回、上場は自社の株を証券取引所で
自由に売買できるようにすることだ
という説明をしました。
では、経営者は何のために上場をするのでしょうか?
前回、説明したように、
世間一般に認知してもらい、
信用してもらえるようになるということもあります。
従業員もよりレベルの高い人材を
採用しやすくなりますし、
既にいる従業員のモチベーションを
高めることにもなります。
営業の開拓も容易になります。
しかし、それが上場の主な目的ではありません。
上場するときには、
それまで、経営者が持っていた株を
一般に売却することとなります。
上場していなければ、株は、売れないので、
実質的には価値はありません。
しかし、上場して売りに出すとすると、
5万円の出資によって得た株が、
10万円にも、100万円にもなります。
これが、いわゆる創業者利益というものです。
経営者がそれまで会社に投資してきたお金を、
上場することにより
何倍にもすることができるのです。
自分の経営する会社を上場することにより、
経営者(株主)は
いきなり資産家になれるのです。
このために、
上場するという経営者はいると思いますが、
これは上場本来の目的ではありません。
株を取引所に上場する本来の目的は、
会社の資金調達にあります。
株に価格が付いて
自由に取引される状況を作って、
株を新たに発行して、資金調達を図る、
これが上場の目的です。
会社が成長していく際には、
店舗を増やす、人員を増やす、
新たな技術を導入するなど資金が必要です。
それを借入で調達するとなると、
利息は支払わなければならないし、
一定期間の間に元本も
返済しなければなりません。
そこで、利息の支払いや
元本の返済のいらない資金である出資金を
証券市場で集めようというのが、
本来の上場の目的なのです。
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