弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第90回
支払えないのに

弁護士でない人と提携して
借金の整理をやらせて
手数料を稼ぐ非弁提携弁護士の話をしています

通常の弁護士であれば、
借金の整理は、借金の額を聞いて、
それを利息制限法に基づき計算し直して、
その借金の総額を、今ある収入から
生活にかかる費用を引いた金額(支払原資)で
3年で支払えるかを判断して、
支払えるのであれば、任意整理、
支払えなければ破産という方針を立てます。

ところが、非弁提携弁護士は、
依頼を受ける際に、
弁護士に支払う月々の金額だけ決め、
それが、弁護士費用なのか、
借金の返済に回るのか説明しません。
月々の支払額も、多重債務者の収入では
とても支払えない額を平気で提示します。

破産の申立は、
多重債務者から詳しい事情を聞いて、
資料を揃えて申立書を作成し、
裁判所に提出しなければなりません。
申立をすれば、裁判所に弁護士が行き、
事情を説明しなければなりません。
このようなことは、
弁護士でない法律事務職員ではできません。

そこで、非弁提携弁護士は、
破産した方がよいという多重債務者でも、
借金を分割で払っていくという
任意整理という方法で借金の整理をします。

弁護士費用と月々の返済が
多重債務者の支払能力を超えているのですから、
多重債務者にとっては、
全く借金の整理にはなっていません。
ひどいところは
弁護士費用をサラ金などから借りて
用意するようにいうところもあるようです。

世の中、あまりうまい話はありません。
安易に「無料」に惹かれて
飛びつかないよう気をつけてください。

どうしてもお金がないけれども
法律相談を受けたい場合は、
以前ご説明した法律扶助協会を利用してください。
http://www.jlaa.or.jp/branch/index.html
東京の3弁護士会は、借金の相談については
法律相談料を2100円に値下げしています。

仮に、法律相談料が5250円だとしても、
毎月数万円から十数万円も返済している
サラ金への返済を止めて、
それを弁護士への法律相談料に当てれば、
十分支払える額だと思うのですが、
多重債務者の方は高額なサラ金の利息は払えても、
弁護士に相談料を払うのは嫌だ
ということなのでしょうか?


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2005年8月30日(火)

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