弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第59回
大家の悩み1−賃料不払い

前回、マンションやアパートを
建設したり、購入したりして、
賃貸収入を得る不動産投資の
経済的なリスクの話をしました。
今回は、法的なリスクの話です。

賃貸マンションや
賃貸アパートのトラブルで
一番多いのは、賃料の不払いです。

最近は、自営業者であれば倒産、
サラリーマンでもリストラによる解雇や
給料の減額などにより、
賃料の支払は大丈夫だと思っていた人が、
急に支払えなくなったりします。

ただ、これは、入居の申込のときに、
年収、勤続年数、勤務先などの資料を
提出してもらったり、
保証人を立ててもらったりすることにより、
回避できます。
最近は、賃料の保証会社もあるので、
それを利用するという方法もあります。

マンションやアパートの賃貸の場合、
2年毎に更新するのが普通だと思います。
2年経つと、本人の職業や収入、
保証人の収入などが変わっている場合があります。
更新時に確認するに越したことはありません。

会社が借り上げて、
代表者が居住するという場合もあります。
入居申込のあった際に、
会社の税務申告書を提出してもらいましょう。
会社が実質的に
代表者個人で経営されているのと同じような場合、
会社の業績がよければ問題ありませんが、
会社の業績がよくない場合、
代表者を保証人とすると、
会社が倒産したら、
代表者の収入もなくなるのが普通ですから、
保証人の意味がありません。
マンションやアパートの賃貸の保証人というのは、
借主が賃料を支払わないときに
代わりに払ってもらうためのものだからです。
別な保証人を立ててもらいましょう。

このように、
入居時に収入の証明を出してもらったり、
保証人の資力を確認したりという
強い態度に出るためにも、
借りる人は他にもいる
競争力の高い物件である必要があります。
空室が多かったり、申込を断ると
空室になってしまうおそれがあったりすると、
結局、空室を埋めるために、
資力の裏付けが十分でない人に
貸すこととなってしまいます。

すると、貸したのはよいけれども、
今度は賃料が支払われず
苦労するということになります。

このよう点からすると、
不動産投資においては、
競争力の高い物件ほど賃料不払いリスクが低くなり、
競争力の低い物件ほどリスクが高くなると言えます。


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2005年5月12日(木)

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