弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第52回
問題の多い成果主義

従業員の賃金引下げ、人員整理といった
いわゆるリストラについても、
雇用契約という契約の問題であり、
労働基準法などの法律の問題ですから、
会社側からも、労働者側からも
法律相談として相談を受けることがあります。
もちろん、同じ会社の会社側と
労働者側の相談に乗ることはありません。

昨今問題を指摘されている成果主義報酬も、
従業員の賃金の問題であり、
これも、弁護士が相談に乗る問題です。

成果主義報酬は、
働いただけ給料をもらう制度ですから、
当たり前で平等のような気がします。
しかし、何ゆえ、このように
成果主義報酬が非難されるのでしょうか?

その説明をするために、
まず、成果主義報酬に対する
年功序列賃金について、説明します。

年功序列賃金では、ご存知のとおり、
年齢が上がるに連れて、
給料も上がるという仕組みです。

若いときには、
生活にあまりお金がかからないので、
給料を低くし、年齢が高くなるに従い、
生活にもお金がかかることから、
給料も高くするという意味で、
生活給的な側面を持ちます。

これまで、年功序列賃金に
異論が出なかったのはなぜでしょうか。
従業員としては、今給料が低くても、
会社は自分を一生雇ってくれて、年齢が上がれば、
自分も高額の給料をもらえるようになると
信じていたからに他なりません。
従業員としては、今でも、
年功序列賃金が保証されるのであれば、
その方がいいと思っています。

会社としては、年功序列賃金は、
今働いた分を後で払うという
給料支払いの先送りであり、
そのときになれば
会社の売上も多くなっているし、
支払いが可能だろうということから、
年功序列賃金を採用することに
問題はなかったのです。

会社と従業員の労使一致して、
年功序列賃金は都合が良かったわけですが、
それを可能にする事情が変わってしまいました。
そこで、年功序列賃金から
成果主義を導入しよう
という動きになってきたのです。


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2005年4月12日(火)

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