弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第47回
名義株は相続税対策?

西武鉄道株事件では、
上場企業である西武鉄道の経営権維持のために、
名義株が使われましたが、
西武鉄道の大株主で
上場していないコクドの株でも
名義株が利用されていたようです。

コクドや西武鉄道株の詳細はわかりませんので、
事件から離れて、一般論として、
名義株が相続税に与える影響を説明します。

ある人が亡くなった場合、
故人が株を持っていれば、
その株は相続税の対象となります。

しかし、名義株として、他人名義にして、
相続税の申告のときに除いて申告すれば、
相続税の対象とならない可能性があります。

また、上場していない会社の株式は、
株式の過半数を持っている場合と
持っていない場合とでは、
評価方法が異なります。
株式の過半数を持っていない場合は、
低い評価で相続税が課される可能性があります。

要するに、
名義株を故人の財産ではないという前提で
相続税の申告をすると、
持ち株率が下がり、
相続税の対象となる株の評価が
下がる可能性があるのです。

しかし、他人名義になっているとは言え、
本当は、故人が所有していた株ですから、
相続財産として申告し、
相続税の対象としなければなりません。

相続税の対象となるにもかかわらず、
他人名義であることをいいことに、
相続税の申告の際、申告の対象としなければ、
脱税と判断される可能性があります。

西武鉄道の事件では、詳細はわかりませんが、
相続税対策のために名義株としていた
という報道がなされたように思います。
それは、相続税対策ではなく、
上記のような脱税の方法として
利用されたということなのでしょうか?

気になるのですが、
仮に脱税だとしても、
税金の徴収権は7年で時効にかかってしまうので、
既に時効が成立しており、
今後、国税が調査して明らかになることもないし、
脱税で逮捕されたり、
重加算税が課せられたりもしないと思われます。

みなさん、
名義株を利用した相続税対策は、
報道では相続税対策と言っていますが、
一般的には脱税の方法ですから、
十分注意をしてください。


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2005年3月24日(木)

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