弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第38回
会社は何のために作るのか

ビジネスを始めようとするときに、
会社を設立してからやる
というケースは多いと思います。
でも、一般に会社を設立しなくても、
個人で、ビジネスを行なうことも可能です。
個人でビジネスを行うからといって、
本名でビジネスを行なう必要はないのです。

会社でないので、
会社は名乗れませんが、
○○商事や○○物産他
カタカナ名でも英語名でも
自分の好きな名前を名乗って
ビジネスをすることが自由にできます。

このビジネス上の名前を、
商号や屋号と言います。
それでは、何のために会社を設立するのでしょうか?

一般的には、
(1)会社の方が世間的に信用がある
(2)会社の方が税法上得である
などと言われています。

しかし、(1)については、
そういうこともあるかもしれませんが、
実際の収入や担保がなければ、
銀行などからは相手にされませんし、
過去の実績がなければ、
個人であろうが会社であろうが、
営業に行っても相手にされないことは
同じような気がします。

逆に、世間で言われているほど、
相手が個人なのか、会社なのかで、
商品やサービスを購入するかどうかを
厳密に区別している個人や会社は
あまりないような気もします。

(2)については、よく言われることですが、
実際には会社にすると、
会社と個人の両方に税金がかかることとなりますから、
会社にした方が不利な場合もあります。

例えば、会社が赤字でも
地方税が毎年7万円かかりますし、
会社として少しでも利益が出れば、
個人の場合より高率の事業税や法人税が
課される可能性があります。

法人税は原則30%
(中小の場合所得が800万円以下の場合22%)ですが、
個人の場合、売上から経費等を引いた所得が
900万円以下であれば所得税20%です。
会社の場合は、交際費も限定されます。

また、税務申告や経理処理が難しくなるために、
税理士などに依頼する必要が出てきます。
だから、ビジネスで
一定金額以上の売上や利益が見込まれる場合でないと
会社設立による税法上のメリットは得られないのです。

会社設立のメリットは、
(1)(2)の他にもあるのです。
それについては、次回に説明します。


←前回記事へ

2005年2月22日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ