弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第26回
信頼関係を破壊した場合に解除できる

土地やマンション、
アパートを貸している場合、
賃料がどれくらい未払いになったら
解除できるかは一つの問題です。
ちなみに、解除というのは、
相手方の契約違反を理由に
賃貸借契約を終了させることです。
解約とも言います。

大体、賃貸借契約書では、
1回でも賃料の支払いが遅れたら
賃貸借契約を解除できることとなっています。
しかし、判例では、
借主がたった1回賃料を支払わなかっただけでは、
貸主が賃貸借契約を解除することは
できないとされています。

その理由は、賃貸借契約は、
長期間継続することを前提としており、
貸主と借主の相互の信頼関係に基づく契約なので、
信頼関係が崩れれば直ちに契約を解除することができるが、
信頼関係が崩れていなければ
契約違反があっても解除できないということなのです。
これを「信頼関係破壊の法理」と言います。

一般的には、アパートやマンションの賃貸借契約、
即ち借家契約の場合には、
月払いで賃料が3ヶ月未払いとなると、
信頼関係が破壊され、
賃貸借契約を解除できると言われています。

借地の場合、
土地上に借主の建物があることが多く、
貸主に簡単に解除を認めると、
借主の損失が大きいことから、
借家の場合よりも解除は認められにくいようです。
事情によりますが、
6ヶ月くらいが1つの目安かもしれません。

賃貸借契約の解除は、
当事者間の事情によって、
解除が認められたり、認められなかったりします。
だから、借家のケースで言えば、
常に、3ヶ月未納だと解除ができるというわけでもなく、
逆に、1ヶ月や2ヶ月の未納なら
解除できないというわけでもありません。
ご注意ください。

質問のケースでは、
6年分未納となっているということなので、
もっと早く、賃貸借契約を解除することができたと思います。
また、借主が行方不明になったことも、
信頼関係を破壊し、
賃貸借契約の解除を肯定する要素になります。

では、行方不明の借主を相手に
どのように解除したらよいのでしょうか?


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2005年1月11日(火)

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