弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第6回
親の収入を管理する−親の借金はどうなる?その5

実際に資産管理・資産承継無料相談に来られた方の
相談についての僕の回答の続きです

弁護士:あなたは債権者で、お金を貸しているのだから、
     会社がお金を返せなくなった場合
     銀行管理になるでしょう。
     それと同じだと説明してください。

     また、あなたの案に反対ならば、
     あなたは債権者として
     お父さんの破産の申立をすると言ったらよいでしょう。

     それから、親類や知り合いなど
     お父さんがお金を借りそうなところに、
     お父さんが現在借金をしても返済できない状態にあるから
     貸さないで欲しいと言っておくことですね。
     お父さんにお金を貸す人は、
     お父さんがそういう状況にあると知らないから
     お金を貸すので、
     そこまで言ってお金を貸す人はいないでしょう。

     お父さんには、
     『収入と預金の管理を全てあなたに任せ、
      あなたに無断で借金をしたり、
      収入を隠したりしたら、
      あなたが破産の申立をすることを承諾する』
     という一筆を書いてもらったらどうでしょうか?
     法的にはあまり意味はありませんが、
     精神的には有効かもしれません。

相談者:土地の問題や保証人、親類の問題があるので、
     父の破産を避けたいという気持ちもあります。
     そういう方向で父に言ってみます。

弁護士:ここで、最初のあなたの質問に答えておきますと、
     破産は、不動産があってもすることができます。
     破産管財人という裁判所から選任された人が
     不動産を売却し、代金を債権者に配当します。

     あなたのケースでは、
     金融機関が担保権を設定していますので、
     金融機関が土地と建物を競売にかける可能性もあります。
     資産の方が多ければ破産する人はいませんが、
     破産をして土地を売ったら
     代金が支払う負債額よりも多かった場合には、
     債権者に支払って余ったお金は本人に戻されます。

     それから、債権者と相談して、土地を売却し、
     その代金で借金の返済をして
     借金を減額する任意売却という方法も可能です。

     質問の2ですが、相続する場合、
     資産も負債も相続します。
     相続税は、基本的に資産から
     負債を引いた金額にかかります。
     お父さんに貸していたお金は、
     お父さんにしてみれば借金となります。
     だから、相続税ではマイナスということになります。
     しかし、身内の借金を相続税をかけるときに
     マイナスとすることを認めると、
     相続税の軽減のために、
     みんな身内から借金があることにして、
     相続税を免れようとすることになると思います。

     だから、税務署はこの点について、
     何か取り扱いを決めているのではないでしょうか?
     その点については、
     税理士さんあるいは税務署に聞いてください。

ということで、相談は終了しました。


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2004年10月28日(木)

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