弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第104回
最高裁判所での裁判

日本の裁判は、三審制がとられており、
1つの紛争について
3回判断してもらう機会があります。

これは、裁判官も人間だから、
判断が1回だけでは、
裁判官が間違う可能性もあるので、
1度出た判決に対して、異議があれば
上級審でチェックするというものです。

こう説明すると、
1つのトラブルを3段階でチェックすることにより、
正しい結論が導かれる良い制度と思われるかもしれません。

また、ちょっと事案から見て
負ける見込みが高い方にとっては、
1審で負けても、あと2回逆転のチャンスがありますから、
1つのトラブルで3回勝つチャンスがあることとなります。

しかし、勝つ見込みの高い方にとっては、
3回も裁判に付き合わされることになり、
その間、時間も労力も費用もかかることになります。

そこで、最高裁に上告できる場合は、
原則として憲法問題に限定されています。

民事の場合、2審の判決が
過去の最高裁判例に違反している場合と、
重要な法律問題がある場合にも、
上告できることとなっています。

即ち、最高裁では、
憲法問題か法律の解釈問題についてしか
判断しないということです。

したがって、地裁や高裁が相手のうそを信用して、
事実認定を間違ったという理由で、
最高裁に上告しても認められないのです。

証拠や証人が信用できるかどうかは、
高裁の判断が最終的なものとなります。

この最高裁の裁判は
上告した方が勝つ見込みのある場合、
即ち、高裁判決がひっくり返る場合のみ、
法廷で裁判が行われることとなっています。

したがって、上告された場合に
裁判所からの呼出状がきたらピンチです。
上告した方が負ける場合は、
判決の日も指定されず、
ある日突然判決が届きます。

最高裁で、高裁判決がひっくり返ることはほとんどなく、
最高裁で裁判が行われることもありません。

残念ながら、僕も最高裁で裁判をしたことはありません。


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