第90回
和解で解決した方が早い
裁判が和解で解決することの多い理由の続きです。
(2)早期解決
裁判になった紛争を判決で最終的に決着するとすると、
時間がかかります。
僕が弁護士になりたての10年位前は、
裁判は、一審判決までで
1年から1年6ヶ月と言われていました。
最近は、かなり迅速化されて来ましたが、
9ヶ月から1年くらいかかりますし、
控訴され、上告されれば最終的に確定するのは、
さらに半年から1年かかってしまいます。
いつまでも、過去の紛争にこだわっていること自体、
会社経営や人生においてマイナスですし、
判決が出るまで内容が決まらないという
不安定な状況が継続するということも
会社経営や人生にとってよいことではありません。
そこで、内容的に少し譲っても
確実に早期解決を図るために和解をするのです。
(3)費用・時間・労力の節約
裁判で解決するには、過去のことを思い出し、
当時の資料を引っ張り出して調査したり、整理したりして、
弁護士に説明し、証拠として提出する必要があります。
当時のことを知っている人に連絡を取って
会って事情を聞かなければならない場合もあります。
訴訟のポイント毎にそれを何度か繰り返し、
証人尋問となれば、改めて弁護士と打ち合わせをして、
裁判所で証言をしなければなりません。
過去の事実を、裁判で証明するためには、
事案によっては、本当に、細かく、
面倒な作業をしなければならないこととなります。
しかも、その作業が判決によって
報われるかどうかはわかりません。
敗訴すればその作業は結果的に無駄となります。
そこで、判決で解決するまでの
費用・時間・労力を考えると、
早期に和解して、
裁判にかかる費用・時間・労力を節約する
ということになります。
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