弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第43回
ゴルフ会員権訴訟

前回、ゴルフ場が右肩上がり経済が続けば
返さなくてよいと考えていた
預託金の返還請求訴訟を起こされている
という説明をしました。

さて、これに対し、
ゴルフ場はどうすればよいのでしょうか?
ゴルフ場の対応には、3つくらいあります。

1.据置期間延長
   会員からの預託金の返還請求に対しては、
   理事会で預託金の返還請求の延長をしたから返さない
   という主張をします。
   この延長決議が有効とされた判例もありますが、
   この主張は通らない可能性が大きいです。

2.分割弁済
   ゴルフ場には、現実に、
   会員に返すお金はありませんから
   ほとんどの会員には返すお金がない
   ということで諦めてもらって、
   訴訟を起こしたうるさい会員にだけ
   長期の分割払いをして行きます。

   いくら一人あたりは少ない金額を返還していくと言っても、
   多数の会員から預託金の返還請求があると
   合計額は相当な額となりますから、
   相当な収益が上がるゴルフ場
   あるいは親会社からの援助がある場合でないと続きません。

3.民事再生
   最近、2,3年は、
   ゴルフ場の民事再生手続の申し立てが多いです。
   会員全員を平等に扱い、かつ、
   ゴルフ場を再生するには、
   この方法しかないからです。

   預託金を市場の相場に合わせて、
   7割から9割くらいをカットするということになります。
   これについて会員はどう対応すればいいでしょうか?

会員の対応

1.売却損を出す
   税理士は、大体この方法を薦めます。
   ゴルフ会員権を市場で売却すると、損が出ます、
   その損を収入と相殺するのです。
   ゴルフ会員権の場合、会社でも、個人でも
   売却損を収入と相殺できます。

   ただ、この方法は、収入が多く、
   税金の支払額が多くないとあまりメリットはありません。

2.早い者勝ち
   ゴルフ場の経営状況が、
   今後回復することはあまり期待できません。
   待ってもあまりいいことはないのです。

   自分のことだけ考えれば、
   預託金の返還請求訴訟を早く起こして、
   和解をして任意に支払ってもらったり、
   判決を取って強制執行したりして、
   早く返してもらうのが一番です。


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