弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第42回
ゴルフ場の失敗

今、ゴルフ会員権を買おうとする人は
よほどゴルフ好きな人で、
みなさんにはあまり馴染みがないかもしれません。

しかし、バブル経済華やかりしころは、
このゴルフ会員権は、
値上がりが大きく投資の対象となっていたので、
ゴルフをやらない人でも、
購入したりしていました。

このゴルフ会員権は、
株式になっているものもありますが、
そのほとんどは、
何百万円から何千万円という預託金を
10年から15年預ける方式を取っています。

ゴルフ場は、
この会員からの預託金で土地を購入し、
ゴルフ場を作ります。
ゴルフ場というのは、
そんなに利益が上がる事業ではないので、
10年から15年経ったからといって、
会員全員に何百万円から
何千万円もの預託金を返せるほど
お金を貯めることはできません。

それなのに、どうして預託金という形式で、
お金を集めたかというと、
ゴルフ場を開場して10年から15年も経過すれば、
会員権の値段が
預託金の額よりも上がっているだろうから、
会員が預託金の返還を求めずに、
会員権を市場で売るだろう、
即ち、ゴルフ場は会員からお金を預っていながら
実際にはお金を返還しなくてよい
というメリットがあったからです。

ところが、ゴルフ場の予測は
右肩上がり経済を前提にしていましたから、
バブル経済崩壊後に、
市場での会員権の値段が
預託金の3分の1、4分の1、
ひどいものは10分の1となってしまうと、
会員は、一斉にゴルフ場に対し
預託金の返還を求めてきました。

預託金の据置期間が満了した
平成10年ころから現在に至るまで、
会員からゴルフ場に対し
預託金返還請求訴訟が多数起こされています。


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