第29回
刑事弁護と民事弁護の違い
刑事裁判と民事裁判は、同じ裁判ですが、
内容や手続が異なりますから、
使う言葉も違います。
しかし、テレビや新聞の報道でも、
刑事裁判と民事裁判の用語の違いについて
きちんと意識されていません。
みなさんも、正しい用語を覚えて、
ニュースで正しく使われているか
チェックしてみてはどうでしょうか?
刑事裁判を起こすのは、検察官です。
刑事裁判を起こすことを起訴と言います。
弁護士は刑事裁判を起こすことはできません。
民事裁判を起こすことは、提訴と言います。
民事裁判を起こすことは、
みなさんが自分ですることもできますし、
弁護士に依頼することもできます。
刑事裁判では、
弁護士は起訴された被告人の弁護をします。
刑事裁判では、弁護士を弁護人と言います。
民事では、民事裁判を起こす人(原告)と
民事裁判を起こされた人(被告)の両方に付くことがあります。
民事裁判では、弁護人と言わずに、代理人と言います。
刑事裁判を起こされた被告人と、
民事裁判を起こされた被告は違いますから、
よく注意してください。
弁護士は、刑事裁判では、
被告人が犯罪を行っていないと言えば無罪を主張し、
犯罪を行ったのが事実であれば、
執行猶予がついたり、刑が軽くなったりするように、
被告人に有利な事情を主張し立証していくこととなります。
被害者に弁償したり、
今回なぜ犯罪を行ってしまうことになったのか、
どうしたら今後犯罪を行わないようになるのかについて
被告人やその家族とともに考えたりもします。
被告人が無罪を主張しているにもかかわらず、
弁護人が証拠から判断して明らかに有罪だと考え、
被告人が有罪であることを認める主張をすることはできません。
弁護士は、民事裁判では、
原告が請求権のあることを主張立証し、
被告が請求権のないことを主張立証して行きます。
お互いが譲り合って解決できるようであれば、
和解で解決します。
例えば、原告が1000万円請求しているけれども、
被告の主張ももっともで、
原告被告の言い分が五分五分の場合、
被告が原告に500万円を支払って解決するなどです。
話し合いで解決できなければ、判決となります。
判決では、原告の1000万円の請求が認められるか、
0円になるかどちらかということになります。
民事裁判は、判決でなく、
和解で解決するケースが多いのですが、
刑事裁判は必ず判決となります。
日本の刑事裁判では、
アメリカのように罪を認めるから
何年の刑にするというような司法取引は
認められていません。
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