弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第19回
訴訟はオーダーメイド

弁護士に依頼するには、かなり高いお金がかかります。
その理由は、

(1) 弁護士が司法試験というかなり難しい試験によって選抜され、
   長い間、司法試験の合格者が
   年間500人に制限されてきたこと

(2) 弁護士の仕事は、主に、依頼者から事実を聞き出し、
   その事案にあった判例や法律を調査し、主張を構成し、
   書面を作成したり、交渉したりすることですが、
   これをすることができるのは、ほとんど弁護士であって、
   事務所職員に代替させることができないこと
   (もちろん機械化は今のところできていません)

(3) 弁護士の仕事は、
   依頼者毎によって事情が違うオーダーメイドであって、
   1件1件依頼者のためだけに仕事をすること

(4) 弁護士の仕事の対象は、いわゆる揉め事であって、
   面倒なことが多く、
   それなりの報酬をもらわなければ割に合わないこと

などだと僕は考えています。

訴訟をしたことがある人はわかると思いますが、
訴訟は、過去の事実関係を主張し、立証する作業と、
法律上の主張をする作業が主なことです。
この過去の事実関係を依頼者から聞いて、
証人や証拠となる資料を整理していく作業は、
かなり労力と時間がかかります。
これを法律と照らし合わせて、
書面にまとめるのも一苦労です。

訴訟の場合、大抵、相手方は
全く違うことを言っていますから、
どの点が相手方が正しく、
どの点が依頼者が正しいのか、
前後の言動や他の証拠と整合性があるのか
細かい配慮が必要になります。

同じような訴訟でも、紛争当事者同士で、
いつどのようなことを話したかは全く違うので、
弁護士は毎回改めてその事案に合った事情聴取をして、
書面を作成しなければなりません。

通常のビジネスでも、大量生産商品は安いけれど、
オーダーメイド商品は高いでしょう。
訴訟は、典型的なオーダーメイド商品なのです。


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