第228回
小売・卸売の代金債権の時効は2年です。

先週の宿題は
小売でも、卸売でも、商品の代金は、
2年間で時効にかかってしまい、以後請求ができなくなる。
○でしょうか? ×でしょうか?

という問題でした。
答えは、です。

請求権(債権)の時効というのは、
一定期間が過ぎると請求権をないことにする
(消滅させてしまう)制度です。
実際と異なる内容を法律的に確定してしまう制度なので、
不合理な面もあります。

小売・卸売の代金については、
相手方の署名捺印した契約書があっても、
2年経過して時効にかかってしまうと
請求できなくなってしまうからです。

それでも、時効が設けられている理由は、
時効がないといつまでも決着がつかない状態が
続いてしまうこととなってしまい、
請求される側がいつまでも証拠などを
保管しなければならなくなってしまうことから
それを避けるためということのようです。

納得できない人もいるとは思いますが、
民法と商法が制定されてから、
時効のところは変わっておらず、
これからも変わらないでしょうから、
時効について不合理だと言っても仕方がないので、
勉強して、時効にかからないように
気をつけていただくほかありません。

会社の取引により生じた請求権は
5年で時効にかかります
(商法522条)。
しかし、それよりも短い時効期間が
定められている場合があります。
その一つが、小売や卸売の代金で、
2年で時効にかかってしまいます
(民法173条)。

払え、払わないということをやっていると、
2年なんかあっという間に過ぎてしまいます。
せっかく売上げを上げて、弁護士の言うとおり、
発注書や契約書といった証拠も揃えていても、
時効にかかってしまったら何もなりません。
時効には気をつけましょう。
明日は、小売や卸売の代金の他の時効を取り上げます。


■今週の宿題 ■
Aさんには、子供Xさん、Yさん、Zさんがいました。
ZさんがAさんの面倒を見ていたので、Zさんを受取人とする
1000万円の生命保険をかけていました。
Aさんの残した財産はこの生命保険のみで
他に財産はありませんでした。
Aさんが亡くなった場合Zさんは
この1000万円を3等分しなければならない。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


←前回記事へ

2003年8月4日(月)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ