第225回
預金の差押も相手方に打撃を与えます。
昨日、売掛金の差押は、費用が安く、
しかも1か月分で債権額に満たない場合には
6か月分までまとめて差押ができるという話をしました。
相手方が、飲食店や販売店で、
クレジットカードにより
顧客に商品やサービスを提供している場合には、
カード会社から相手方に支払われる立替金を
差し押さえることが有効です。
どういうことか説明します。
A社は、顧客にクレジットカードで商品を販売します。
すると、カード会社は顧客に代わって、
2週間に1度くらいの売上げをまとめて
A社に支払うこととなります。
そこで、これを差し押さえるのです。
相手方の取引先1件1件を特定して
売掛金を差し押さえるのは大変ですが、
使えるカード会社を調べることは比較的簡単です。
しかも売掛金がカード会社にまとまっているので
差押えによる回収も期待できます。
売掛金の他に、預金を差し押さえる場合もあります。
預金の場合は、売掛金と異なり、
裁判所は6か月分まとめて差し押さえるということを
認めてくれません。
したがって、差し押さえた時点で、
預金残高があるかないかが
回収できるかどうかの分かれ目になります。
差し押さえた翌日に大口の振込みがあっても、
差押の効力は及ばないのです。
しかも、大口の振込みがある預金口座の場合、
その銀行から借り入れをしている可能性が大です。
すると、差し押さえた時点で預金残高があっても、
銀行が自分の貸付金と預金残高とを
相殺してしまいますから、
差押により回収することはできません。
銀行の相殺は差押えに優先するからです。
しかし、相手方は銀行からお金を借りるときに、
金銭消費貸借契約で、差押えなどを受けた場合、
返済期限が到来し残金を
一括で支払わなければならないということを約束しています。
したがって、銀行の預金を差し押さえられると、
借り入れをしているお金の返済を
どうするかという問題が出てきてしまうし、
また、銀行は差押を受けるような事業者には
貸付はしませんから新規の融資は受けられなくなってしまいます。
そこで、相手方が、代金は支払うので
差押を取り下げて欲しいと言ってくるということになります。
また、うまく給料日の前日に差押えができると、
相手方は従業員に給料を払えなくなるということにもなります。
預金の差押は、預金から直接回収するという意味では
なかなか難しいのですが、
相手方へ与える打撃という意味では効果は大きいので、
差押えの対象として有効となる場合も多いのです。
■今週の宿題 ■
小売でも、卸売でも、商品の代金は、
2年間で時効にかかってしまい、以後請求ができなくなる。
○でしょうか? ×でしょうか?
お答えをお待ちしております。
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