第223回
差押を先にしても優先されるわけではありません。

先週の宿題は 
債務者の財産を差し押さえした場合、
最初に差し押さえた人が
他の人に優先して弁済(返済)を受けることができる。
○でしょうか? ×でしょうか?

という問題でした。
答えは、×です。

差押は、相手方(債務者)の財産を売却して、
その代金から支払いを受ける手続きです。
1人で差押をしたときには、
売却代金はすべて差押をした人のものです。

しかし、自分が差押をした後に、
後から他の債権者も差押をしてきた場合には、
差押を先にしたからといって、
優先的に回収できるわけではありません。
平等に取り扱われます。

ここで平等というのは、
頭数で平等というわけではありません。
債権額に応じて平等ということになります。

例えば、AさんがBさんに
100万円の売掛金をもっていたとします。
BさんはCさんに100万円の売掛金を持っていました。
Aさんはこれを差し押さえて、
全額回収できると思ったところ、
後から、Bさんに対し300万円の売掛金を持っているDさんも
Cさんに対する売掛金を差し押さえたとしましょう。

この場合どうなるかというと、
頭数で平等であれば、AさんとDさんは
50万円ずつ分けるということになります。
しかし、債権額に応じて平等にわけるというのですから、
AさんとDさんの債権額の比率1:3に応じて
Aさん25万円、Dさん75万円となります。

Aさんは、せっかく先に押さえたのに
後から押さえたDさんの債権額が大きいと
Dさんの方が多く回収できることとなってしまうのです。

これは、差押の段階では、
債務者が破産した場合と同様に、
債権者は債権額に応じてしか
弁済を受けられないという考え方に基づいています。


■今週の宿題 ■
小売でも、卸売でも、商品の代金は、
2年間で時効にかかってしまい、以後請求ができなくなる。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年7月28日(月)

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