第220回
営業を引き継いだ人に請求できる場合があります。

A社に対し、売掛金を持っていたので、
取立てに行ったところ、
「ここはB社が経営をしているので、A社とは関係がない」
こんなことを言われたことがありませんか?

もちろん、A社とB社が、
全く関連のない会社であれば、
A社の債権者は、B社に対し
売掛金の請求をすることはできないのが原則です。
しかし、A社とB社の名前が同じかほぼ同じ場合、
会社名が違っても、店舗の名前が同じ場合には、
A社の債権者に対する支払義務を
B社が引き継ぐ場合があるのです。
法律上、「商号続用による営業譲受人の責任」
(商法26条)と呼ばれています。

一般の会社でも、
前にやっていた会社の顧客を引き継ぐために
他の会社が営業を引き継いだ場合に
同じ名前で営業を続けることもありますが、
今よく見られるのはゴルフ場です。

ゴルフ場は、会員からの預託金を集めて
ゴルフ場を造っているのですが、
10年から15年経過すると
預託金を返還することにしています。
ところが、ゴルフ場自体は会員に
預託金を返還できるほど儲かりませんから、
預託金を返せません。
儲からないことが理由か、
会員からの強制執行を避けるためか、
他の会社に営業を
譲渡してしまったりしているケースが多いです。

でも、せっかく知れ渡った
ゴルフ場名を変えることは営業上損なので
ゴルフ場名をそのまま利用することも少なくありません。
そういう場合には、新しい経営会社に対し、
「商号続用による営業譲受人の責任」により
請求することができるのです。
もちろん、ゴルフ場以外でも、
使えるケースはあると思います。


■今週の宿題 ■
債務者の財産を差し押さえした場合、
最初に差し押さえた人が
他の人に優先して弁済(返済)を受けることができる。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年7月23日(水)

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