第188回
最初から代金を支払うつもりがなかった場合が詐欺です。

先週の宿題は
同じ無銭飲食でも、
最初から代金を支払うつもりがないのに
注文して飲食して逃げた場合は詐欺罪となるが、
お金も持っていて最初は支払うつもりで注文したが
飲食後支払うのを止めて逃げた場合は詐欺罪とならない。
○でしょうか?×でしょうか?

という問題でした。
答えはです。

同じ無銭飲食でも、
最初から払うつもりがない場合と
最初は払うつもりがあったけれども、
途中から払うのを止めようと思った場合では、
詐欺になるかどうか結論は違います。
詐欺になるのは、
最初から払うつもりがなかった場合です。

どうしてこういう宿題を出したかというと、
商品を売って買主が代金を支払わないケースについて
「先生、これは詐欺じゃないですか?」
と相談されるケースが多いからです。

無銭飲食のケースと同様に、
相手が最初から代金を支払わないつもりで
商品を注文した場合が詐欺で、
商品の注文を出した時点では
払うつもりがあったのに
資金繰りがつかなくて払えなくなった場合は
詐欺にはなりません。
最初から払うつもりがあったのかなかったのかは、
心の中の問題ですが、商品の注文をした時点で、
代金の支払日に代金を支払う見込みが
あったかどうかを基準に判断します。

例えば、注文時点で、
現金や預金や売掛金その他
換金性のある資産が全くないような場合には
代金支払日に代金を支払う見込みもないでしょうから、
詐欺と認められる可能性は高いです。
しかし、実際営業している会社では、
お金が出たり入ったりしているわけで、
代金支払日までに売上もあるのが普通ですから、
一般的には代金支払日には
代金相当額のお金がある可能性はあるわけです。

だから、代金を支払わないからといって、
最初から代金を支払うつもりがなかった、
即ち詐欺だとはなかなか言えないのです。
しかし、詐欺だと言えないということは、
犯罪にならないという刑事の問題であって、
民事上は、代金の支払義務があるには変わりません。


■今週の宿題 ■
ダイヤルQ2の利用料金や
レンタルビデオの延滞金などについて、
実際はないのに、
債権を譲り受けたと言って請求することは、詐欺となる。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年6月9日(月)

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