第186回
取引相手の調査の方法は、
決算書や不動産登記簿謄本だけではありません。
前回、取引先に対し掛売りをする場合、
相手の収入や財産状況を調査する方法として、
決算書や不動産登記簿謄本を取ることを説明しましたが、
それだけではありません。
相手方の事業はどのような事業なのか、
聞いて確認することも重要です。
当たり前ですが、事務所がどこで、
従業員がどれくらいいて、
売上げがどれくらいなのか聞きましょう。
事務所が小さく、従業員が少ないにもかかわらず、
売上げが多い場合は、
どうしてそんなに利益が上がるのか
確認した方がいいかも知れません。
会社の経歴、要するにいつごろどんな事業を始めて、
今に至ったかということも聞いておく必要があります。
会社の商業登記簿謄本も取り寄せた方がよいでしょう。
取締役が変更されたのはいつか、
会社の名称や住所等の変更されたのはいつかなど確認しましょう。
最近になって会社の住所や役員が変更された場合には、
休眠会社を買い取って、
社歴を古く見せている可能性があります。
取込詐欺では、買い取った休眠会社を使うということが
よく使われます。
以前の取引先を聞いて、
どうしてその取引先との取引をやめたのか聞いてみましょう。
それから、その取引先が同業者で確認できるのであれば
取引状況を聞いて見ましょう。
代金の支払いが滞ってから調べてみたら、
実は、前の取引先にも同様に
代金の支払いをしていないということは
よくあることだからです。
要するに、代金不払いの常習犯なのです。
相手の事務所には、面倒でも行って、
仕事をしている状況を確認した方がいいです。
聞いていた事業の方法や売上げと実際が
一致しているか確認するわけです。
その他に、卸なのか、
消費者に直接サービスを提供するのか、
商品を加工して販売するのか、
商品はどこにおいて置くのかなどです。
特に、売り先や商品の所在は、重要です。
後で、これらは差し押さえる対象となるからです。
相手の事業の仕組みなどに不自然な点はないのか、
いざとなったら差し押さえるものはあるか、
掛売りをするときには、
最低限確認する必要があります。
■今週の宿題 ■
同じ無銭飲食でも、
最初から代金を支払うつもりがないのに
注文して飲食して逃げた場合は詐欺罪となるが、
お金も持っていて最初は代金を支払うつもりで注文したが
飲食後支払うのをやめて逃げた場合は詐欺罪とならない
○でしょうか? ×でしょうか?
お答えをお待ちしております。
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