第139回
ロックアウトは犯罪になる場合もあります。

先週の宿題は
借主が賃料の支払を滞っていたところ、
貸主が怒って、鍵を変えてしまって、
借主は中に入れなくなりました。
貸主の行為は犯罪となる場合がある。
○でしょうか?×でしょうか?

という問題でした。

貸主が鍵をかけて入れなくしてしまうことを
ロックアウトと言います。
これは、以前第44回で説明した自力救済の一つです。
自力救済は原則として
禁止されているということを覚えていますか?
設問の例でも自力救済として許されません。

自力救済ができないなんて
面倒だと思う人がいるのも事実です。
しかし、面倒でも、
法律の手順を踏んで権利を実現することは、
巡り巡って自分の権利を守ることにもなるのです。
人間いつも権利を行使する側に立つとは限りません。
いつ訴えられる立場になるのかわからないのです。
だから、不便があっても、
それぞれが実力行使するより
裁判所のフィルターを通して権利を実現することが
世の中にとってよいというルールを
人は作ってきたわけです。

借金の形として時計を取るのは
窃盗罪(刑法235条)でしたが、
ロックアウトはどんな罪かわかりますか?
これは、不動産侵奪罪(刑法235条の2)です。
建物は貸主にとっては自分の不動産ですが、
他人に貸した以上は、勝手に鍵を変えたりして
自分の支配下に置くことはできなくなるのです。
そして、それを強行すると犯罪となる場合もあるのです。
だから、答えはです。


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2003年3月24日(月)

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