第131回
借主に債務不履行がないのに出て行ってもらうには
立退料を支払うほかありません。

これまで、説明してきたとおり、
普通の建物賃貸借契約では、
更新しないことについて正当な理由がない限り、
契約期間が満了したからとって、
貸主が借主に対し建物の明け渡しを求めることはできません。
そこで、貸主はどうするかと言うと、
借主に立退料を支払って、
出て行ってもらうということなります。
この立退料の算定については明確なルールはありません。
ただ、おおまかな算定方法があるので、それを説明します。

もちろん、借主が立退料はもらわなくても
移転するというのであれば立退料は無料ということになります。
借主は、移転する必要がないにもかかわらず、
移転するのですから、
最低限、引越代+移転先を借りるのに必要な
礼金・権利金などの費用が立退料としては必要となるでしょう。
これに、移転したことにより少なくなると思われる
営業の補償金(売上の何か月分)などを上乗せする場合もあります。

また、立退きは、借主の持っている賃借権を
貸主に売却するという考え方もあり、
立退料を借主の持っている賃借権(借家権)の価格を
基準に決める場合もあります。

この賃借権の価格は、おおよそ、
土地の時価に借地権割合をかけて、
さらに借家権割合をかけて算定します。
借地権割合や借家権割合は、地域など事情によって異なります。
ただ、一般に、借地権割合が70%、
借家権割合が30%くらいと言われています。
だから、例えば、1億円の土地上の建物一棟を借りて
営業している場合の借家権の価格は
1億円×70%×30%=2100万円
ということになるわけです。

その建物が5階建てで1階部分だけ使用しているとすれば
その5分の1である借家権の420万円ということになります。
貸主、借主双方の事情を考慮して、
上の金額を元に、立退料を決めることとなります。


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2003年3月12日(水)

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