第111回
事務所や店舗を借りるときには
契約で使用目的が決められています。

建物賃貸借契約では、建物のどの部分を、
賃料いくらで借りるということが決められるということは、
みなさんご存知のとおりです。
建物賃貸借契約では、
その他に事務所や店舗の使用目的が
決められているのが普通です。
この使用目的は、法律上、
必ず決めなければならないわけではありません。
でも、契約で決めた以上は、
守らなければ契約違反ということになります。

事務所や店舗を借りるときには、
契約書に使用目的がどのように書かれているか
よく読んでください。
というのは、ある事業を始めたけれど、
しばらく経って別な事業が儲かると考えて、
転業しようと思ったときに、
建物賃貸借契約上の使用目的が限定されていると、
せっかくやれば儲かるというアイデアを
実現できなくなってしまうからです。

過去の判例では、
ファッション関係の営業店舗として借りたものの、
アイスクリームの販売店として利用したことが
契約違反となった事例があります。
このケースでは、次回取り上げる店舗の改装を
無断で行なったことも理由になっています。

裁判上、使用目的違反として争われた例としては、

(1) 麻雀店を経営する目的で借りたのに
   ゲームセンターの営業をしたケース
(2) 資材販売の事務所として使用する目的で借りたのに
   テレホンクラブの営業を行なったケース
(3) 飲食業の目的であったのに金融業を営んだケース
(4) じゅうたん販売の営業目的で借りたのに
    暴力団事務所として使用したケース
などがあります。

使用目的は、将来のことも考えて、
広く書いてもらっておいた方が
後でトラブルにならないと思います。


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2003年2月12日(水)

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