第64回
借金は分割されて相続されます。

先週の宿題は下記のような問題でした。
父親Aさんが長男Bさんから900万円を借金して
返済しないまま亡くなりました。
Aさんは自宅(6000万円)を残しています。
Aさんの子供は3人で他にCさん、Dさんがいます。

この場合、相続によって、
AさんのBさんに対する借金は無くなって、
Bさん、Cさん、Dさんの3人の兄弟は、
自宅を法定相続分ずつ(2000万円ずつ)相続する。
○でしょうか? ×でしょうか?

ちょっと長かったのですが、みなさん考えてくれましたか?
借金も相続されるという話をしてきました。
実際、相続されると、借金は
相続分にしたがって分割されて相続されます。

宿題の例で説明すると、相続人であるBさん、Cさん、Dさんに
平等に分割されて相続されることになりますから、
Bさん、Cさん、Dさんは相続によって
それぞれ300万円づつの借金を負うことになるのです。
これは、故人であるAさんの借金が
相続人の1人であるBさんに対するものであろうと、
銀行に対する借金であろうと同じです。

そこで、法律に従った相続をすると、Bさん、Cさん、Dさんは、
それぞれプラスの財産である自宅を2000万円ずつ、
マイナスの財産である借金を
300万円ずつ相続することとなります。
だから、宿題は×が正解です。

具体的にどうなったかと言うと、
息子Bさんは父親Aさんに900万円貸していたのですが、
相続によって、自分に300万円請求し、
CさんにもDさんにも300万円請求できるということになります。
だから相続によってBさんが損することはありません。
ただ、自分が自分に300万円請求して、
自分が自分に支払うというのは変ですから、
このBさんのBさんに対する300万円請求権は
相続により消滅してしまいます。
同時に支払義務もなくなりますから、
Bさんにとって損得はありません。

ちなみに、
この請求権と支払義務が同じ人に帰属した場合のことを
法律用語で「混同」と言います。


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2002年11月25日(月)

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