第63回
相続の放棄・限定承認のできない場合があります。

相続財産に借金などのマイナスの財産が多い場合、
相続の放棄や限定承認によって、
相続人が故人の借金を背負い込むということは無くなります。
この便利な相続の放棄・限定承認ですが、
うっかりするとできなくなる場合があるので、
この点は要注意です。

まず、相続人は相続を知った日から3ヶ月以内に
放棄か限定承認をしなければなりません。
相続を知った日というのは、
一般的には故人が亡くなったことを
知った日ということになります。

放棄か限定承認は、
家庭裁判所に書類を提出してすることになります。
書式は家庭裁判所に置いてあります。
相続関係を示す戸籍謄本も
一緒に提出する必要があります。

3ヶ月は長いようで短いです。
故人を弔うための葬儀、初七日、四十九日がありますし、
身内が亡くなれば遺族は気持ちの整理もしなければなりません。
残された財産関係の調査したり、
相続の放棄や限定承認をするかどうか検討したりするのに、
どうしても時間が必要な場合には、
家庭裁判所に期間を延ばしてもらう申立ができます。
もちろん期間の経過前に申立てる必要があります。

次に、故人の預金を下ろして使ってしまったり、
土地を処分してしまったりしたなど、
相続人が個人の財産を処分してしまうと、
相続を認めたこととなり、
相続の放棄や限定承認ができなくなってしまいます。
故人の葬儀をするために故人の預金などを
下ろして使うことは認められていますが、
故人の預金を下ろして、故人の借金の返済に当てたり、
相続人の生活費に当てたりしてしまうと、
相続の放棄や限定承認はできなくなってしまうのです。
故人が借金を残して亡くなった場合には注意してください。


■今週の宿題■
父親Aさんが長男Bさんから900万円を借金して
返済しないまま亡くなりました。
Aさんは自宅(6000万円)を残しています。
Aさんの子供は3人で他にCさん、Dさんがいます。

この場合、相続によって、
AさんのBさんに対する借金は無くなって、
Bさん、Cさん、Dさんの3人の兄弟は、
自宅を法定相続分ずつ(2000万円ずつ)相続する。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2002年11月22日(金)

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