第43回
ドラマのように家具の差し押さえはできません。

借りたお金を返さなければ、貸主は抵当権を実行する他に、
判決や公正証書によって、財産の差押えをしてきます。

差押えの原則は、金目のものは
何でも差し押さえることができるということです。

自宅、自社ビルはもちろんのこと、工場の機械、
トラックや自動車、現金、預金、取引先への売掛金、
株券、生命保険、電話加入権などです。

生命保険には、中途解約をした場合に解約返戻金といって
これまでの掛け金の一部を返還してくれる制度があります。
判例上、債権者が生命保険について差し押さえをして、
債務者が承諾しなくても生命保険契約を解約し、
解約返戻金を受領することまで認められています。

また、個人に対しては、給料の差押えもできます。

ドラマなどで、債権者が差押えする場合に、
家具に赤札を張るというシーンが出てきます。
そのせいだと思いますが、お金を返さないと
家の中の家具も全部債権者に取られてしまうのかという質問を
受ける場合があります。

しかし、法律上、生活に最低限必要な家具は
差押えすることが認められていません。
この最低限必要な家具は、テレビにベッド、クーラーなども
含まれますから、大抵の家具は差し押さえることができないと
考えていてよいと思います。

このような配慮を受けるのは、個人の場合で、
会社の場合はクーラーでもテレビでも差押えが可能です。

しかし、実際、豊かになった今の日本では、
これらのクーラーやテレビを差し押さえて、
競売にかけたとしても、買う人もいません。
だから、費用をかけて差押えをしても、
その費用分を回収できないので、
そもそもこのようなものの差押えもしないのが普通です。


■今週の宿題■
借主が約束どおりお金を返済していないのであれば、
貸主が借主の持っている時計を
借金の形(かた)に取っていったとしても貸主は許される。
でしょうか? ×でしょうか?
お答えをお待ちしております。


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2002年10月25日(金)

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