第35回
根保証の悪用の手口教えます。
商工ローンが、一般の人が保証と根保証の違いが
わからないことをいいことに根保証を悪用したという話をしました。
もう一度言いますが、根保証というのは、一定の枠を設けて、
その金額の範囲内であれば、保証した以降に借主がした借金も
保証することになる保証なのです。
でも、お金を借りようとする人も、保証人になろうとする人も、
そんなこと知りませんから、普通の保証人になってもらう、
なってあげるという意識なのです。
そこを商工ローンのある業者は目をつけたのです。
借主が100万円を借りるときに、業者は「保証人を付けてくれ」と
いうのです。
保証人になる人も「100万円の保証人ならなりましょう」と
普通の保証だと思い、結構簡単に
保証契約に署名捺印をしてしまいます。
ところが、実はこの契約書には根保証と書かれており、
保証の枠である被担保債権の範囲を1000万円とするなどと
書かれているのです。
その後、借主が高利で借り換えを繰り返すうちに、
借主の借金は1000万円の枠一杯になって支払いきれなくなり破産。
商工ローンから保証人に、1000万円の請求が行くわけです。
保証人が、「100万円の借金の保証人になったのであって、
その後の借金は知らない。」と言っても、
「根保証の契約書にサインしているのだから、
争っても無駄だよ。」と言われるわけです。
これが商工ローンによる根保証悪用の手口です。
実際、以前の判例は商工ローンの主張を認めていました。
しかし、最近の判決例を見ますと、
根保証の仕組みについてよく説明せず、追加の借金について
保証人に連絡していないような場合には、
最初の借金の限度でしか保証責任を負わないとするのが、
判例の傾向です。
したがって、上の例でも、100万円の範囲でしか
保証責任は負いません。
最近は、貸金業法の改正により、保証人にも
保証内容を記載した書面を渡す義務が定められ、
追加して融資した場合にはその内容を記載した書面も
渡さなければなりません。
だから、今は以前ほど根保証の悪用はなくなりました。
ただ、100万円のつもりが、1000万円もの請求です。
契約書はよく読んで、わからなかったら契約はしないようにするか、
弁護士に相談してからに契約するようにしてください。
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