第34回
刑事事件報道で、「被告」という言い方は間違っています。

さて、先週の宿題は、刑事事件報道で、
「被告」や「容疑者」という言葉が使われますが、
これはどういう意味でしょうか?というものでした。
テレビや新聞では、逮捕されて起訴される前の人を
「容疑者」と呼び、起訴されて裁判中の人を「被告」と
呼んでいるようです。

ちなみに、起訴されるというのは、
裁判所に刑事裁判の申し立てをされたということです。
テレビ番組の中で「訴えてやる」という決め台詞が
使われていますが、これは民事裁判の申し立てをすることなので、
起訴とは異なります。

話は戻りますが、私が詐欺罪で逮捕されると、
テレビで「弁護士が逮捕されました。
高島容疑者はホームページ上で嘘を言って、
読者からお金を騙し取った疑いで逮捕されました」などと
報道されるのです。

起訴後の裁判についてのニュースでは、
「高島被告は、第1回公判で嘘は言っておらず
読者からは法律相談料としてお金を受け取ったと起訴事実を
否認しました」などと報道されるのです。

刑事手続きに関する法律は刑事訴訟法です。
刑事訴訟法では、
犯人である疑いのある人でまだ刑事裁判にかけられていない人を
「被疑者」と言い、
起訴され刑事裁判にかけられている人を「被告人」と言います。
犯人である疑いのある人を「被疑者」というのは、
「容疑者」に比べて言いづらいし、
「容疑者」というのは犯人の疑いのある人の意味しか
ありませんから、「容疑者」の使い方はそれでよいと思います。

しかし、刑事裁判にかけられた人を「被告」と呼ぶのは困ります。
なぜかというと、民事裁判では、訴訟を起こした人を「原告」、
訴訟を起こされた人を「被告」というのです。
そこで、一般の人は、民事訴訟を起こされた場合、
裁判所から送られた書類に「被告」と書かれていて
「何で俺は犯罪なんかしていないのに「被告」と呼ばれなきゃ
いけないんだ」などと、
余計な感情的な対立を生んだりしてしまうからです。

マスコミ関係者の人がこれを読んでいたら、
刑事裁判にかけられている人を
「被告人」と呼ぶよう直してください。


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2002年10月14日(月)

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