第14回
利息だけ支払い、1年後に元本全額返済する契約は危険です。
事業資金を貸し付けるときに、銀行が、土地を担保にとって、
返済期限を1年として、1年間は毎月利息を支払って行き、
1年後に元本全額返還するという約束で、お金を貸す場合があります。
小さな金額であれば、1年後に一括で弁済することも可能でしょうが、
1000万円を超えるような金額になると一括で返済することはできません。
それなのに、どうしてこのような契約をするのでしょうか?
1年という短期に限った方が、銀行のリスクが少ないからです。
10年、20年と返済期限を延ばすと、それだけ将来の予想は難しくなります。
そこで、返済期限(貸付期間)を1年に限って、
1年後に返済してもらうことにするのです。
それでは、1年後どうするのかというと、
銀行が企業の経営内容を審査して、OKならば、
一度返済を受けたことにして、また再度貸し付けたことにする、
あるいは、返済期限を1年延長することにするわけです。
そうやって、契約書上の返済期限は1年だけれど、
実際は長期間にわたって継続して貸し付けがなされるのです。
この契約がどうして危険かと言いますと、
返済期限が1年と限定されているので、
契約が更新するかしないか銀行の判断で決められてしまうからです。
今のように銀行の経営内容が悪くなって、
銀行が「貸し渋り」「貸し剥がし」をするようになると、
「返済期限がきたので全額返してください。」
「それが嫌なら利息を上げてください。」
「担保を積み増ししてください。」となってしまうわけです。
これについては、これまで何度も更新してきて、
借主がきちんと約定どおり利息などを支払っていて、
会社の経営が黒字であるにもかかわらず、
銀行の都合で利息を上げることを要求したり、
全額返済を迫ったりということは、法的に争いようがあると考えます。
しかし、最初の契約のときに、返済期限を1年としなければ、
このような問題は生じないわけです。ご注意ください。
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