第63回
ストアコンセプトの実際 その8
106日前 汗と忍耐の店前通行量調査
次に松井さんと斎藤さんが行ったのは
物件の前に立って
店前の通行量を自ら計ることでした。
店前通行量とは文字通り、
店の前を対象顧客を時間帯に分けて計測するもので
人の力で行わなければなりません。
松井さんの会社に
かつて大手のカフェチェーンが提出した
出店企画書によると、
朝の7:00から夜の9:00まで
3万人/日と記載されていました。
1時間ごとで男女合計で平日1回分でした。
芝さんからこれを指摘されたのです。
外部の流動人口が多い立地は、
天候、イベント等によって人の流れは変わります。
調査する日数は多い程ブレが少ないのは当然です。
松井さんは改めて次の様な計画を立てました。
調査方法は、
(1)平日、月、水、金の3日を
AM7:00〜PM11:30まで2名3チームで行う
(2)土曜日はAM7:00〜PM11:30まで2名3チームで行う
念の為、日祭日はAM7:00〜PM10:00まで
2名3チームで行う
(3)調査対象は小中高校生の制服の学生と
一人では入店出来ない高齢者を除く全ての老若男女
(4)物件側の歩道と反対側の歩道の両方を計る
(5)道路は片側一直線、ガードレールあり
この為反対側歩道を利用する人がどの位確認出来、
スムーズに店への道路を亘ることが出来るかを充分討議する
(6)平日で雨天が3日連続した場合は、
晴れた日を別の日に設定して行う
(7)5分間で300名を超える場合、
計測が難しくなる場合があるので、改めて増員して行う
(8)今回は2名、2方向なので男女比、年令比は考慮しない
この為の一週間、松井さんと斎藤さん、アルバイトの4名は
まさしく汗と忍耐の日々でした。
しかし最終日、松井さんは、はっきりと理解出来たのです。
「この街に自分達のカフェは必要だ。やっていける」と。
『流した汗と忍耐は、
その分だけ身を助けてくれる』
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